水無月

大阪YMCA こども園事業部( 大阪YMCAは、4つの保育園と2つのこども園を運営しています。そこで管理栄養士をしている人たちが交代で執筆しています。)

更新:2016-06-03

6月は季節の変わり目で、衣替えや梅雨入りの憂鬱な季節ですね。そして、ちょうど1年の半分を終える月でもあります。

6月30日は、残り半年を無病息災で過ごせるようにと「夏越祓(なごしのはらえ)」という行事が各地で行われ、“六月”の名の付いた和菓子「水無月」を食べる習慣があります。

水無月は、小豆がのった“ういろう”のことで、割れてとがった氷をイメージした三角形をしており、天然氷についた泥に見立て、伝承的な魔除けの意味として小豆を乗せているのだそうです。

かつて氷は高級品で、毎年6月1日に、金沢の氷室(ひむろ)(冬にできた氷を夏まで保管できる場所)から江戸に献上されたといいます。その距離なんと約500キロ!今のように車や保冷設備が無い時代、飛脚が4日間昼夜を問わず走り、氷を届けたというから驚きです。

献上氷を待ち受ける江戸庶民も、6月1日が近づくと「お氷(こおり)さま」の飛脚一行が通るのを楽しみにし、沿道で“長持(ながも)ち”から跳ねる氷水のしぶきを、一滴でも浴び、氷の恩恵(無病息災)を受けようと待ち構えていたのだそうです。そんな庶民がめったに口にすることのできない氷に見立て、売られたのがこの“水無月”という和菓子なのです。

冷たいものは冷めたくて当たり前と思っている今日ですが、ほんの50数年前までは、それが、“当たり前”ではなかったということ。そんな状況でも、涼を目で楽しもうとする発想力と無病息災の祈りとが合わさって形作られた“水無月”が、今、この時代にまで受け継がれ、伝統となって食べ続けられているということに、感慨深さがあります。

私たちも、便利な時代に感謝するとともに、先人のように、“思いを込めて工夫を凝らす”ということを忘れないようにしなければ…。

水無月が売っていても見向きもしなかった私ですが、一年の折り返しに当たる6月30日には、そんなことを思いながら、残り半年も頑張ろう!という気持ちで、水無月をいただこうと思います。

★~簡単“水無月”の作り方~(15cm×15cmの耐熱容器)

≪材料≫
●小麦粉 90g
●片栗粉 10g
●上白糖 70g
●水 300cc
甘納豆 40~50g

≪作り方≫
①材料料の●を泡だて器でよく混ぜ、茶漉しで漉しながら、
   50ccを残して、耐熱容器に流し入れる。
   残した50ccに甘納豆を浸けておく。
②容器の両端を1cmずつ開けてラップをかけ、600㍗の
   電子レンジで約8分間加熱する。
③レンジから取り出し、①で浸けておいた甘納豆を流しいれ、
   再度ラップをし、約2分間加熱する。
④型に入れたまま荒熱をとり、完全に冷めたら型から取り出す。

ポイント ・冷蔵庫に入れると固くなるので、常温で冷ましてください。
             ・6cm以上の深めの容器でつくる。浅いと溢れてしまいます。

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