子育てがうまくいくコツ ~子どもの成長と絵本(1)~

杉本 節子(ちゃいるどネット大阪 障害共生保育研究プロジェクト座長)

更新:2016-03-22

子どもの気持ち育てが大事なポイント!!

自分の気持ちをすなおに表現し、他者に受け止められたり、あるいは拒否されたりという経験をとおしてコミュニケーション力がゆたかになっていきます。「うれしい」「ここちいい」「こまった」「いやだ」などの子どもの気持ちをまず受けとめてあげましょう。一緒に感じ合う事で育まれることが、きっとたくさんあるでしょう。

★うれしい → 満たされる心地よさは、安心感を育てます。
★ここちいい→ この人といるといい気持ち、この場所が好きという愛着から人への信頼感が育まれます。
★こまった → 「きもちわる~い」「おなかすいた~」「ねむいよ~」など、困ったことを解消してもらう事で、人に知らせたらうまくいくことを認識していきます。
★いやだ~ → 「これたべたくない」「このひとしらない」「こわいからいやだ」などの気持ちを受け止めてもらう事で、自分を守ってくれる人の存在を知っていきます。

子どもの気持ちを受け止めることが大切という話をした時に、「悪いことをしたら叱らなくてもいいですか」という質問を受けることがあります。「これはダメよ。そんなことをしたらお母さんは悲しいよ」という大人の気持ちを伝えることは大切なことです。でも、叱っている内容が理解できない年齢からの対応は、子どもを怖がらせてしまうだけになります。その状況を周りにいる大人が判断して援助してあげたいですね。

乳児の成長とあそび

0歳1歳2歳と、子どもたちはゆっくりと、その子のペースで成長していきます。

0歳では体験をとおして五感を発達させていきますが、手が届くものすべてを口に持っていきなめて確かめていきます。

1歳では自分で歩くことができたり手の動きも器用になって出来ることが増えてきます。それまで大人にしてもらってきたことを土台に、親しい大人と「ちょうだい」「どうぞ」「ありがとう」などのやり取りを楽しんだり、「して~」と要求するようになります。

2歳では身体機能が完成することで、「できた!」という達成感が自信へとつながっていきます。大人のしている事を取り入れ簡単なお手伝いをしたがるようになる時期でもあります。

このような成長をうながし、子どもの満足感・達成感を満たすものとして、おもちゃと絵本が大切です。
子どもが飽きずに繰り返し遊ぶおもちゃが身近にある事、そして身近な大人にゆっくり気持ちを傾けて関わってもらう事で心が安定し心身の成長に繋がっていきます。
絵本の魅力もとても子どもの心を楽しませてくれます。それも、身近な大人のひざに抱っこされて、ゆっくり身体を動かしたり、絵本の登場人物と同じように繰り返してもらう事で小さな胸をときめかせて、心が豊かに広がります。何より読んでくれる人に愛情を感じ、人を大事にする気持ちを育んでいきます。

こんな時期に、一緒に読んでみたい絵本

『だるまさんの』『だるまさんが』『だるまさんと』(ブロンズ新社)かがくいひろし著
『ぎゅっ』(徳間書店)ジェズ・オールバラ
『あっぷっぷ』(ひかりのくに)中川ひろたか 文 村上康成 絵
『ちびごりらのちびちび』(ほるぷ出版) ルース・ボーンスタイン 著  いわた みみ訳
など

子どもの心の安定は、将来の人格形成の基礎になります。
“叱らなくては”“教えなければ”という焦りは逆効果。
この時期の身近な人との心の通じ合いは、身体と知育の栄養になります。

 

執筆者

  • 杉本 節子
  • ちゃいるどネット大阪 障害共生保育研究プロジェクト座長
  • 大阪府豊中市での公立保育所勤務を終え定年退職、現在は常磐会短期大学を初め三か所で非常勤講師として勤務。
     その他、『子どもにとって最も良いこと』の視点から保育実践を伝える講演活動や、絵本の読み聞かせ活動など
  • ふぁみなび:NPO法人 ちゃいるどネット大阪紹介ページ