働く女性として“仕事と家庭の両立”を考える③ -産休に入った私に、気持ちの変化-

松本 奈津子(株式会社セリオ)

更新:2016-06-03

仕事人間だった私に、意外な気持ちの変化

仕事に何とか目処を付け、産休に入った私は、こんなに何もしないただの休み生活が初めてだったため、何をしていいかわからず、何もしないことが怖くて、母親学級も市が開催するものと産婦人科が開催するものの両方に行ったり、両親学級に行ったり、マタニティヨガやマタニティスクールに参加したりと、毎日のように予定を入れて過ごしました。

臨月の後半には予定外で引っ越しがあったり、産婦人科の検診も頻繁になり、その辺りからは仕事のことも少しずつ頭から離れだして、予定日ばかり気になりだしました。

子育ての生活リズム、仕事の生活リズム

そして予定日から10日遅れて、男の子を出産。

職場の仲間からもたくさんのお祝いとメッセージが届きましたが、まだ母親になりきれていない新米母親として少しくすぐったい感じでした。
そこからは母としての生活が始まり、母親ではありますが、まだ実感が薄く、慣れない初めての育児に周りも見えず、目の前の息子のことばかりでしたが、1~2ヶ月程経って、3時間おきの授乳にも慣れ、実家から自宅に戻ると、少しずつ自分の生活リズムや感覚も取り戻し始めました。

ある時、ふと複雑な気持ちになったのは息子が4ヶ月か5ヶ月だった頃。

うちの自宅は山側で、窓から外を見下ろすと電車の駅が見えます。
息子の生活リズムも出来はじめ、まだ3~4時間に1度は起きますがミルクを飲むとそのまま連続で寝てくれるようになったので、8時半までには布団に入れるようになったのですが、次に起きた0時の時、息子のところに行くとかすかに電車の音がしました。
仕事をしているときはこの時間の電車に乗って帰宅することも多く、この時間に外にいることがほとんどでしたが、今では18時半には息子と一緒にお風呂に入り、20時半に寝かしつける毎日で、息子は眠りが浅く、小さな物音でもすぐに目を覚ますので、家の中は21時には深夜のように静かになります。

母親と子どもは一心同体

0時がまだ活動時間だった頃を思い出し、外の駅を眺めながら、これからしばらく何年かはこの時間の電車に乗ることも帰宅することもないのかと思うと、独り身の自由だった頃の懐かしさと、子どもが出来た実感とで複雑な思いになりました。
母親とは子どもと一心同体なので、何処に行くにも何をするにも一緒で、初めは、『あ!子どもがいるんだった!』と、ふと忘れていたこともありましたが、不思議と一緒にいるのが当たり前になるものなのですね。

今では子どもが側にいないと逆に不安になりますし、仕事も一緒に連れていけると良いのに…と思います。

会社内に保育施設を設ける企業が増えているようですが、まだまだ一般的とはいえない状況だと思います。女性の人材活用の視点からも「ソフト(母親の心理)」と「ハード(施設)」の両面から「どういった支援が必要か?」を考えていきたいと思います。

 

執筆者

  • 松本 奈津子
  • 株式会社セリオ
  • 平成17年 株式会社セリオ入社
         人材派遣 コーディネーター 登録・面接・派遣先への配属などを行う
    平成21年 学童保育(トレジャーキッズクラブ)立上げ 指導員として1年
         マネージメント業務(指導員の採用・教育など)1年
    平成24年 課長昇進
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