子育てに役立つ鉄道スタンプラリー 重要なのは大人も楽しむこと(1) 子どもの趣味は、大人も楽しまないと続かない

弘田 陽介(福山市立大学大学院・教育学研究科准教授)

更新:2017-02-07

子どもたちと一緒に楽しめる趣味をお持ちでしょうか。お子さんが女の子なら料理やファッション、男の子ならばスポーツやアニメ、ゲームなどが定番で、最近ではアウトドアやサーフィン、なんて格好いい趣味も共有されているかもしれません。

 でも、なかなか一緒に楽しめない趣味もありそうです。例えば、女の子の人形遊びやファッションへの関心にお父さんが付き合うのは大変かもしれません。また、お母さんが困るのは、男の子特有のおもちゃ集めやプラモデル制作といったところでしょうか。

 それらのなかでも特に付き合いづらいのは、鉄道趣味かもしれません。なにせ鉄道は大人が日常利用しているものですし、普段使っている電車に対して、何も珍しさや興味を感じないでしょう。

 しかし駅で電車を見たり、鉄道のおもちゃを集めたりするだけが鉄道への関わりではありません。様々な入口や展開があるのが鉄道の楽しみです。そしてその趣味を通じ、子どもの興味・関心をいろいろな世界へ伸ばすことができるのも、鉄道趣味の特徴です。「分からないから付き合えない」というのは、もったいないかもしれません。

 ただ、そこで私(教育学博士 弘田陽介)が伝えたいのは、子どもも大人も楽しくないと趣味というのは続かない、ということです。自然に親子が一緒に行きたい、出かけてみたいと思える鉄道の旅は、自然な形で子どもの興味を伸ばしてくれます。そうして培った幼少時の知識への興味・関心は、その後の学齢期の知的好奇心となり、自分の世界を開拓していく原動力になるでしょう。

執筆者

  • 弘田 陽介
  • 福山市立大学大学院・教育学研究科准教授
  • 大阪市出身。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了(教育学博士)。
    現在、福山市立大学大学院・教育学研究科准教授。
    専門はドイツ教育思想(18世紀後半~、カント、啓蒙主義、神秘主義)、実践的身体教育論(整体、武術、プロレスなど)、子どもと保育のメディア論(アートや鉄道趣味など)。
    著書として、『近代の擬態/擬態の近代』、『子どもはなぜでんしゃが好きなのか』の他に、鈴木晶子編『これは教育学ではない』(冬弓舎、2006)、『教育文化論』(放送大学、2005)にも寄稿。雑誌『日経Kids+』やNHK「あさイチ」毎日放送「ちちんぷいぷい」、朝日放送「キャスト」などでは独自の鉄道文化論が紹介されている。
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