電車で子どもがぐずったら 専門家が教える親が取るべき行動(1) なぜ子どもは電車でぐずるのか

弘田 陽介(福山市立大学大学院・教育学研究科准教授)

更新:2016-07-15

小さいお子さんがおられる方のなかには、電車での移動を苦痛に思われる方も多いと思います。ベビーカーを使われている方は混んでいる車内に入っていくのにも遠慮がいりますし、エレベーターの場所を探すのにも一苦労です。また、子どもは車内でじっとはしてくれません。特に2歳ぐらいの「いやいや期」と呼ばれる時期のお子さんは、ぐずり出すと、どんな風に声をかけても電車のなかで大声で泣いたりするものです。

 子どもが泣いている原因は、見知らぬ車内環境への不安や、もしくは朝起きてからの生活での不満などにあります。ということは原因追求をして、それを解決するという大人の思考モデルではどうにも対処できるものではありません。

 また子どもへの対応だけではなく、周囲の方々の目も気になりますね。親としての力量を周囲から問われているようですし、また言っても聞かない年齢の子どもに声を荒らげて、静かにするように伝えても仕方がないですしね。
最近(2015年2月)、ダウンタウンの松本人志さんが「新幹線で子供がうるさい。。。子供に罪はなし。親のおろおろ感なしに罪あり。。。」とツィートし、ウェブ上で話題と議論を呼んだことを覚えている方も多いでしょう。

 ここで言及されているのが、もし小学校3年生くらいの普通のお子さんで、周囲の状況に構わず騒いでいたのでしたら、親の責任だと考えられるでしょう。しかし、2~3歳のお子さんが親の再三再四の声掛けや対処の後でもまだうるさく、保護者も疲れ果てていた状況でしたら、致し方ないと思うのが大人ですよね。

 いずれにしても、様々な状況がありますが、お母さん・お父さんが悩まれているのは、いざ電車のなかで子供がぐずり出したらどうすればいいのかということです。以下、年齢別に可能な限りの対処をお伝えしたいと思います。

執筆者

  • 弘田 陽介
  • 福山市立大学大学院・教育学研究科准教授
  • 大阪市出身。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了(教育学博士)。
    現在、福山市立大学大学院・教育学研究科准教授。
    専門はドイツ教育思想(18世紀後半~、カント、啓蒙主義、神秘主義)、実践的身体教育論(整体、武術、プロレスなど)、子どもと保育のメディア論(アートや鉄道趣味など)。
    著書として、『近代の擬態/擬態の近代』、『子どもはなぜでんしゃが好きなのか』の他に、鈴木晶子編『これは教育学ではない』(冬弓舎、2006)、『教育文化論』(放送大学、2005)にも寄稿。雑誌『日経Kids+』やNHK「あさイチ」毎日放送「ちちんぷいぷい」、朝日放送「キャスト」などでは独自の鉄道文化論が紹介されている。
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