子どもの「あそび」にじっくりよりそってみると・・・

モリヤマ ミキ(住の江幼稚園 絵画造形講師陣)

更新:2016-08-17

 園庭や公園であそんでいる子ども達を見ていると、「げんきやなー」と改めて思う事がありますね。暑い中無我夢中にあそんでいる子ども達、何が夢中にさせるのか、例えば砂あそびでの山を作ったり、穴を掘ったり、だんごを作ったり、カレーやケーキなど砂を食べ物に見立てたり、さら砂を作ったり、砂だけでも多種多様な「あそび」が考えられます。
 砂は特に可塑性があり、イメージもしやすく魅力的です。砂あそびの中で、子どもは楽しさを知り、また砂あそびをしたくなります。楽しさを知るから、失敗してもつぶれても、もう一度挑戦したくなります。何度も何度もだんごを作り並べている子どもを「だんごばっかり作って他のあそびもしたら良いのに」と話す保護者とお話した事がありますが、何度も同じあそびを繰り返す様に見えますが、自分の中で試行錯誤して試したり、砂の感触が心地よかったり、又、繰り返しの時間から集中している姿も見られます。飽きもせず同じあそびを繰り返す中には、子どもがたくさん頭の中で考え、自分で納得でき「たのしいな」が継続出来ている証拠だと考えます。何が楽しいのか大人は理解できない事もあるかもしれませんが、幼児期の繰り返しのあそびの経験の中には学びがたくさん含まれています。

 住の江幼稚園では、毎朝子ども達は園庭で体をしっかり動かし、「あそぶ」ことから一日が始まります。
今日は何をしてあそぼう、誰とあそぼう、友だちとあそぼうかな、先生とあそぼうかな・・・昨日の続きを楽しみに朝の時間を迎えます。園庭であそぶ事は、お友だちとあそぶきっかけや、成長のきっかけが、たくさん散りばめられています。幼稚園での園庭の「あそび」は2歳から6歳までの異年齢の子ども達が、園庭に集まり自分達で、おもしろそう、やってみたいなと思うあそびを探し見つけあそびます。だんだんと様々な「あそぶ」のグループができ、子ども達のルールもできます。

 今まで何をするのもお母さんと一緒だった子ども達が、お母さんやお父さんなどの「家族」の世界から、一歩二歩と保育者やお友だちとの関わりが増えて「自分」の世界が広がる、幼稚園は幼児期の初めての集団生活の場です。自分がやってみたいあそびの楽しみを見つけ、無我夢中で砂山から水を流したり、穴を掘ったり、友だちと鬼ごっこをしたり、三輪車をお友だちと交代できたり、逆上がりができたり、泥だんごができたり、できて嬉しい事、楽しい事の積み重ねから、子ども達の自信が少しずつ生まれ、明日のあそびに繋がります。

 また、仲良しのお友だちとの、ケンカや取り合いなど嬉しい事とは違い、悲しい気持ちや、泣きたい気持ちも味わい体験することも、子どもの成長で大切な経験の一つです。当たり前ですが、毎日毎日同じ「あそび」の繰り返しではなく、毎日さまざまな思いや気持ちの成長が1日1日どんどん積み重ねられています。子どもは「あそび」の中でぐーんと昨日より1日で成長しました!ということが見えるのではありません。成長を受け止める大人の関わりはとても大切です。
 大人は子どもが成長したことを振り返り「あっという間に成長した」と言う事がありますね。振り返るとその様に思うことがあるかもしれませんが、けしてあっという間ではなく、1日1日積み重ねられたかけがえのない時間があるから、成長が感じらえます。大人がさまざまなあそびのエピソードを振り返り、子どもの成長を確認する事、又は成長を急ぎすぎるのではなく、成長をじっくりと待つ気持ちは大事ではないかと思います。

 園庭あそびの中では、大人からは「よくあそんでるなー!」の一言で終わってしまう事がありますが、「あそび」の中には、幼児期の今しか吸収できない「大切な経験」がたくさん散りばめられています。大人になってから、「もう一回思い切り無我夢中であそびたいねん!」と思っても、もう子どもには戻れませんね。慌しい毎日かもしれませんが、1日1日の時間を大切に、あそびの様子をもう一度見つめる事で、今までとはまた違う子どもの育ちや気持ちなどの「子どもの世界」が見えてくるかもしれません。

執筆者

  • モリヤマ ミキ
  • 住の江幼稚園 絵画造形講師陣
  • 住の江幼稚園幼稚園教諭を経て住の江幼稚園絵画造形講師
  • ふぁみなび:住の江幼稚園紹介ページ