子どもは大人との安心できる信頼関係を土台にしながら、他者へ関心を向けその世界を広げていきます。保育所(園)やこども園では早くから集団生活を経験していますし、地域にある子育て支援のサークルなどでも同じような経験ができることでしょう。幼稚園では3歳、4歳から集団生活を経験することになります。同年代の子ども同士で心豊かにかかわりあう貴重な体験を積んでいきます。
*友だちとまねっこ
友だちと手をつなぐ、はしる、とぶ、くぐるなど同じことをするのがうれしい!まねっこされるのがうれしい!などうれしい共感が心を豊かにしてくれます。
*友だちと協力やお手伝い
遊んだあと積み木を一緒にもって運んだり、片づけてすっきりした経験などが嬉しくなります。また電車ごっこで「こっちもって、ぼくあっちもつから」と自分のちょっとしたアイデアがうまくいった時、お互い嬉しいものです。そしてちょっとしたお手伝いも子どもたちの自信になります。例えば、折り紙を配るお手伝いで「はい、なにいろがいいですか?」
「みどりいろちょうだい!」「はいミドリのおりがみどうぞ」「ありがとう」など友だちとのやり取りが成長を育んでいきます。
*助ける、助けてもらう
大人も子どももちょっとした困ったことはよくあることです。周りにいた子が“こうしたらうまくいくよ”と手助けをしてもらうことで相手の存在を意識します。そんな時に「・・ちゃんに貸してもらってよかったね、うれしいね」や「ありがとうって言ってもらったね」と子どものうれしい気持ちに共感していくと自分のしたことや、友だちにしてもらったことが実感され心や体が満たされていくことでしょう。
*おもちゃをとった、とられた!
“自分のしたいことがジャマされた”‟友だちの遊んでいる物がほしい”
など友だちとのかかわりが進んでいくと悲しい経験もしなければなりません。自分が悲しいだけではなく、相手を悲しませる時もあります。さらに年齢が上がってくると自分より弱いとか強いという見方なども入り、関わり方を変えたり仲間はずれなども出てくることでしょう。
すぐに否定しないで、まずは子どもの思いを聞いてあげたいですね。どの子も「こうしたかった!」というその子なりの理由があるからです。友だちのものをとったことを「ダメでしょ!」とすぐに教えたくなりますが、大人の尺度の前に「どうしたかったの?」「そうか、これであそびたかったのか」と子どもの思いを聞くことで安心できることでしょう。場合によっては友だちを傷つけたことを子どもと一緒に謝ることも貴重な経験です。こんな様々な経験を通して、自分が尊重される、相手を尊重することなど人として大事な基礎を身に着けていくことでしょう。
『ノンタンぶらんこのせて』 偕成社 キヨノサチコ 作
『りんごがドスーン』 文研出版 多田ヒロシ 作
『ありがとうのきもち』 ポプラ社 柴田愛子 作
『どうぞのいす』 ひさかたチャイルド 香山美子 作
『ぼくがあかちゃんだったとき』 教育画劇 浜田桂子 作