子育てがうまくいくコツ ~子どもの成長と絵本(2)~

杉本 節子(ちゃいるどネット大阪 障害共生保育研究プロジェクト座長)

更新:2016-06-03

子どもの発達には、すじみちがある!

子どもがどんな風に成長していくのかを知っていくことはとても重要だと思います。なぜなら、ついつい大人の尺度で子どもの行動を判断して、先取りしてしまうことがあるからです。子どもと大人では見えている見え方が違います。子どもたちは、まだまだ今の年齢をゆっくり歩いています。

子どもが育つ、すじみちって?
『言う事きかない』『だだをこねる』『自分でしたがる』『泣いてかんしゃくを起こす』
などの姿を見て大人の方が困ってしまうことはありませんか。はじめての子育てに戸惑う事もあるかもしれません。

1歳児の発達の姿に
・自分のおもちゃと他の子のおもちゃが分からずに取ってしまう。
・欲しいものを取り合った時、相手をかんだりひっかいてしまう。

このような姿は、1歳児の育つすじみちでは、どの子もが通る道だと言えます。ちょっと見方を変えれば、自分のしたい事があるという意欲の表れだったり、自己主張の表現方法がちょっと未熟(成長の過程)と言えると思います。でもこんな成長の姿もあります。

☆甘えたり、頼ったりしながら要求を出してくる。
☆大人に関わってもらう事を喜び、「ちょうだい」「どうぞ」などのやり取りを楽しむ。
など子どもたちの出す姿に思わず、“もうこんなことが出来るんだ”“こちらの言うことがわかってる!”などの感動がわくのではないでしょうか。

2歳児の発達の姿に
・「これがいいの!」「じぶんでするの!」とやりたがり、うまくいかないと怒りだす。でもうまくいくと満面の笑顔。
・自分のしようとすることに人が手を出すと怒る。

などの姿は2歳児では、自立のために通るすじみちなのです。幼い子どもを尊重しながら見ていくと困る事ばかりではありません。嬉しい成長の発見もいっぱいあります。

☆大人がすることを自分に取り込んで、お手伝いをするようになる。
☆身近な人の話を聞こうとし、かんたんな事ならそれに応じた行動をする。
子どもたちはこんな幼い時から、独り立ち(自立)に向けて多くの難関を突破している のです。そうですとっても頑張っているのです。そんな時、身近な大人から嬉しい受けとめや応援があればとってもハッピーに乗り越えていけるんです。

こんな時期に、一緒に読んでみたい絵本

絵本との出会いは、子どもたちにとって成長のすじみちを共に歩んでくれるパートナーと言えるのではないでしょうか。自分のしたい事や、大好きなものが出てくる、自分の気持ちを意識して口に出して身近な大人に伝えることが出来るなど、成長を後押ししてくれる大事な存在です。なかには、絵本に興味を示さない子もいる事でしょう。そんな時は、子どもの一番好きな遊びで心を通わせて上げて下さい。絵本と同じような存在になる事でしょう。

『くっついた』 こぐま社 三浦太郎 作
『へびくんのさんぽ』 鈴木出版 いとうひろし 作
『いやっ!』 ブロンズ新社 トレーシー・コーデュロイ 作
『こわくない こわくない』 童心社 内田麟太郎 作
『でんしゃにのって』 アリス館 とよたかずひこ 作

執筆者

  • 杉本 節子
  • ちゃいるどネット大阪 障害共生保育研究プロジェクト座長
  • 大阪府豊中市での公立保育所勤務を終え定年退職、現在は常磐会短期大学を初め三か所で非常勤講師として勤務。
     その他、『子どもにとって最も良いこと』の視点から保育実践を伝える講演活動や、絵本の読み聞かせ活動など
  • ふぁみなび:NPO法人 ちゃいるどネット大阪紹介ページ