予防接種を受けましょう。

武田 浩幸/木野 稔(社会医療法人 真美会 中野こども病院 情報管理室主任/理事長)

更新:2016-05-11

VPDって知っていますか?

Vaccine(ワクチン)Preventable(防げる)Diseasese(病気)の略で『ワクチンで防げる病気』です。

日本では、毎年多くの子ども達がVPDに感染して重い後遺症で苦しんだり、命を落としたりしています。その時に思うのが、予防接種をしていれば防げたかもしれないという後悔です。
予防接種をしていたら必ず防げるとはいいませんが、感染や重症化のリスクを減らすことはできます。そもそも予防接種自体には感染を防止する効果があるわけではありません。
予防接種により、あらかじめ体内に抗体を作って、ウイルスや細菌などの増殖を抑えて重篤な合併症や死亡を予防する効果が期待されています。

日本の小児が接種できるワクチンは次のようなものがあります。

定期接種と任意接種があります。定期接種と任意接種にかかわらず、子どもの命を守るため、かからなくてもよい病気にかからずに済むためには、VPDはすべてワクチンで防ぐとお考えください。

定期接種にはヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、四種混合ワクチン、BCGワクチン、不活化ポリオワクチン、MR(麻疹・風疹)ワクチン、水痘(みずぼうそう)ワクチン、A型肝炎ワクチン、日本脳炎ワクチン、ヒブワクチン、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンがあります。任意接種にはB型肝炎ワクチン、ロタワクチン、おたふくかぜ(ムンプス)ワクチン、インフルエンザワクチンがあります。ワクチンには性質によって生ワクチンと不活化ワクチンがあります。
 生ワクチンは生きた細菌やウイルスの毒素を弱めたワクチンで、その病気に軽くかかったのと同様の状態にして免疫をつけます。生ワクチン接種後に次のワクチンを接種するまで4週間以上間隔をあけます。不活化ワクチンは、細菌やウイルスを殺して免疫成分だけを取り出したワクチンです。不活化ワクチン接種後に次のワクチンを接種するまでは1週間間隔をあければ大丈夫です。このように予防接種にはたくさんの種類があり、接種間隔も決まっています。より効率よく接種していくために、同時接種を行ったりしています。接種のスケジュールが分からないという方は気軽にお近くの病院やクリニックで相談してみてください。日本小児科学会が推奨するスケジュールはこちらになっています。

http://www.jpeds.or.jp/modules/general/index.php?content_id=9

 

生後2ヶ月くらいまでの赤ちゃんはお母さんからもらった抗体で守られています。その後抗体が消えていきます。早くからワクチンを接種して十分な免疫をつけるために2ヶ月からスケジュールです。
最近ではスマホのアプリで予防接種のスケジュール管理もあります。
ワクチンの詳細情報や最新情報があったり、予防接種の接種状況の確認、今月接種可能なワクチン、今受けられるワクチンがリストでわかったり、接種予定日の通知機能があったりとかなり便利です。

もう一度言います。予防接種で防げる病気(VPD)があるのです。

予防接種をしておけばよかったと後悔しないためにも、是非接種していただければと願います。

あとは普段から手洗いの習慣をつけましょう。
赤ちゃんの周りの家族がウイルスや細菌を持ち込むのです。
手洗いは手指の汚れを落とすという意味だけでなく、微生物を除去する行為であるということです。帰宅時や食事も前はもちろん、オムツ交換したあとにも忘れずに。

予防接種や手洗い、マスク、うがいなど少しでも感染のリスクを減らすことが大事なのです。

 

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